【5分で理解】外頸動脈、顎動脈の枝について

外頚動脈と、顎動脈の枝について説明します。 まずは、語呂合わせで覚えてしまいましょう。 それから、顎動脈の走行と、部位を動画と文章で覚えていきます。

外頚動脈とは、

外頚動脈(external carotid artery)とは、総頚動脈から分枝する動脈のことです。 小児では内頚動脈より多少小さいが、大人ではほぼ同じ大きさになります。 8本の枝を持ち、終枝は顎動脈と浅側頭動脈の2枝です。

1. 上甲状腺動脈：外頚動脈と内頚動脈に分岐後、すぐに下方へ。
2. 上行咽頭動脈：頭蓋底・咽頭壁に血液を供給。
3. 舌動脈：さらに2本に分岐します。
   1. 舌下動脈：顎舌骨筋線上を走行し、舌下腺や舌下部粘膜に血液を供給。
   2. 舌深動脈：舌の栄養血管。舌尖へ向かって走行。
4. 顔面動脈：オトガイ下部・顔面浅部に分布。眼角動脈となる。
   1. 上行口蓋動脈：咽頭側壁を走行し、軟口蓋へ。
   2. オトガイ下動脈：顎舌骨筋線の下面を前走。
5. 後耳介動脈：後頭動脈の上方で後壁から分布し、耳介後部・後頭部に分布。
6. 後頭動脈：顔面動脈と同じ高さで後壁から分布し、後頭部に血液を供給。
7. 顎動脈：終枝。(略)
8. 浅側頭動脈：終枝。顎関節、咀嚼筋、耳下腺、頭皮、耳介などに分布。

顎動脈とは、

顎動脈(Maxillary Artery, IMA )は、外頚動脈最大の枝です。 側頭下窩で枝を出しながら前方に走り、翼口蓋窩に入って終枝を出します。 上方・内側に走行していくので、イメージしづらいですよね。 3つのブロックに分けて覚える必要があります。

1. 下顎枝部

1. 深耳介動脈：外耳道を超える、外耳道表面と鼓膜の栄養血管。
2. 前鼓室動脈：錐体鼓室裂を通って鼓室に入る鼓室の栄養血管。
3. 中硬膜動脈：３つのうち最大の脳膜の栄養血管。側頭骨骨折で障害されることが多い。
4. 下歯槽動脈：下顎孔から下顎管に入り、オトガイ孔から出る。下顎の歯、骨、歯肉に分布。

2. 翼突筋部

主に、咀嚼筋などの筋に分布します。

1. 深側頭動脈：側頭筋の栄養血管。前・後の2本。
2. 咬筋動脈：咬筋の栄養血管。
3. 翼突筋枝：内・外側翼突筋の栄養血管。数と起始は不定。
4. 頬動脈：頬筋の栄養血管。

3. 翼口蓋部

1. 後上歯槽動脈：上顎骨の歯槽孔から入り、上顎臼歯部の歯・骨・歯肉の栄養血管。
2. 眼窩下動脈：上顎前歯部の歯・骨・歯肉の栄養血管。
3. 下行口蓋動脈：大・小口蓋動脈に分岐する。
   1. 大口蓋動脈：硬口蓋を前走する。
   2. 小口蓋動脈：
4. 翼突管動脈：翼突管を後走し、咽頭上部と耳管に分布。
5. 蝶口蓋動脈：蝶口蓋孔を通って鼻腔に入る。深刻な鼻出血の際に鼻内視鏡を用いて結紮される。

なお、大口蓋動脈と蝶口蓋動脈は、切歯管で吻合します。 立体的に確認するのには、動画が参考になります。 (神奈川歯科大学の高橋常男教授監修で、すべて英語です)

youtu.be

語呂合わせ

外頚動脈「外交員の舌癌と痔の学生」

外	外頚動脈
交	上甲状腺動脈	superior thyroid A.
員	上行咽頭動脈	ascending pharyngeal A.
舌	舌動脈	lingual A.
癌	顔面動脈	facial A.
と	後頭動脈	occipital A.
痔	後耳介動脈	posterior auricular A.
学	顎動脈	(internal) maxillary A.
生	浅側頭動脈	superficial temporal A.

 

顎動脈「深前で中硬かしを深く咬み、翼がでて、頬は後上眼下は翼蝶」

「しんぜんでちゅうこうかしをふかくかみ、よくがでて、きょうはこうじょうがんかはよくちょう」

深	深耳介動脈	Deep auricular A.
前	前鼓室動脈	Anterior tympanic A.
中硬	中硬膜動脈	Middle meningeal A.
かし	下歯槽動脈	Inferior alveolar A.
深	深側頭動脈	Deep temporal A.
咬	咬筋動脈	Masseteric A.
翼	翼突筋枝	Pterygoid branches
頬	頬動脈	Buccal A.
後上	後上歯槽動脈	Posterior superior alveolar A.
眼	眼窩下動脈	Infra-orbital A.
下	下行口蓋動脈	Descending palatine A.
翼	翼突管動脈	Artery of pterygoid canal
蝶	蝶口蓋動脈	Sphenopalatine A.